上山の田んぼの春の鳥

3月、南から渡って来たばかりのケリ
3月、南から渡って来たばかりのケリ

 3月中旬、上山からハクチョウたちが去って行きますが、田んぼが楽しい季節はまだまだ続きます。ミヤマガラス、タゲリは冬鳥ですが、田んぼの雪がなくなるとやって来て数日滞在していきます。                                            

 普段目にしているカラスには2種類がいることをご存じでしょうか?ハシブトガラスとそれより少し小さいハシボソガラスです。ミヤマガラスはさらに少し小さく、とがった白っぽい嘴と「ガァ…」と鳴くときに絶壁になるおでこが特徴です。雪が積もる前の初冬の頃にも出会うことができます。

ミヤマガラス
ミヤマガラス
体全体を使って一生懸命鳴くわりに弱いしわがれ声
体全体を使って一生懸命鳴くわりに弱いしわがれ声

 チドリの仲間であるタゲリは上山には飛来しないのかなと思っていましたが、2025年3月と2026年2月、まだハクチョウが残る田んぼに少数やって来てくれました。シュッと反った長い冠羽、大きな瞳、虹色に輝く羽根、立ち姿も凛として、〝田んぼの貴婦人〟とも言われます。身近な田んぼにこんなに美しい鳥がやって来るのかと驚きます。

「ミュー」という鳴き声も可愛らしいタゲリ
「ミュー」という鳴き声も可愛らしいタゲリ

 代表的な冬鳥であるツグミも各所から集まって来て田んぼや農耕地で群れを作るようになり、ゴールデンウィーク頃まで滞在します。

仙石地区の田んぼの木に集まるツグミ
仙石地区の田んぼの木に集まるツグミ

 時を同じくして、上山にいち早くやって来る夏鳥はヒバリとケリです。ヒバリは積雪が減った最近では越冬しているものもいるかもしれません。地面を歩き回っていることが多く、保護色なので見つけることは難しいです。そしていつの間にか「ピチュピチュピーピー…」と、時には1分以上も複雑に囀り続けながら舞い上がり縄張り宣言をする、いわゆる〝揚げ雲雀〟が始まっています。なんの鳥の声かわからないけど何やら田んぼが賑やかだな、と感じた時の正体はたいていこのヒバリです。

囀りながら空高く舞い上がるヒバリ
囀りながら空高く舞い上がるヒバリ

 ケリはタゲリ同様チドリの仲間で足が長く、飛翔時の白と黒の翼が美しく大きく見えるので存在感があり、「来た!今年も来てくれた!」と夏鳥シーズンの幕開けを強く実感する鳥です。決まって西郷地区のJA付近に飛来します。子育てを始めるのも早くゴールデンウィーク中にはヒナが生まれます。とても気が強く、営巣~子育て中は親の警戒心がMAXになり、通り過ぎようとしただけでも「プププッ!プププッ!」とトランペットの音のような大きな声で鳴き、激しく威嚇してきます。攻撃されるのでは!?と感じるほどの剣幕ですので、営巣場所がわかったとしてもむやみに近づかず、遠くから双眼鏡やスコープで観察しましょう。ケリのヒナはとてもかわいいですよ。

ケリのヒナ
ケリのヒナ
親はお腹にに何羽もヒナを入れて危険と寒さから守る。写真は望遠レンズカメラで撮影しています。
親はお腹にに何羽もヒナを入れて危険と寒さから守る。写真は望遠レンズカメラで撮影しています。
美しいケリの飛翔
美しいケリの飛翔

 その他、雪解けの泥んこ田んぼでひっそりと採餌しているタシギ、北帰行途中に立ち寄るノビタキ、そしてスズメやカワラヒワ、ムクドリ、キジバト、シメ、カシラダカ、タヒバリなどもこの時期は大小の群れを作り、田んぼと近くの草むらや雑木林を行ったり来たりしています。一見寒々としてカラスとスズメだけのように見える早春の上山の田んぼですが、実は冬鳥・夏鳥・留鳥(一年中いる鳥)・漂鳥(国内を季節移動する鳥)たくさんの種類の鳥が活動しています。冬鳥は年によって飛来する種類・数が大きく異なるので、毎年違った観察ができるというところもバードウォッチングの面白さのひとつです。

稲わらと同化して見つけるのに苦労するタシギ
稲わらと同化して見つけるのに苦労するタシギ
夏羽になりつつある、北帰行または高山に移動する途中のノビタキ(♂)
夏羽になりつつある、北帰行または高山に移動する途中のノビタキ(♂)
電線に並ぶムクドリの群れ。一羽だけ違う鳥がいます。誰でしょう?
電線に並ぶムクドリの群れ。一羽だけ違う鳥がいます。誰でしょう?
顔はいかついけれど、鳴き声は控えめで飛翔時の羽根が美しいシメの群れ
顔はいかついけれど、鳴き声は控えめで飛翔時の羽根が美しいシメの群れ
タヒバリの小さな群れ。こちらも警戒心が強く撮影に苦労します。
タヒバリの小さな群れ。こちらも警戒心が強く撮影に苦労します。

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