
20系ヴェルファイア インバータークーラント交換、手順や必要な物

20系ヴェルファイア(ATH20W)のインバータークーラントを交換したので、必要な物や手順などをまとめました。
高速道路走行中にディスプレイに「ハイブリッドシステム高温出力制限中です」と表示され、ボンネットを覗いてみるとインバーター側のリザーブタンクからオーバーフローした形跡がありました。その後警告は消え、問題なく帰宅したのですが念のためクーラントを交換します。
ウォーターポンプの故障も考えられるのですが、恐らくクーラントの劣化で消泡性能が落ち冷却が追い付かなくなったのではと考えました。水温が上がり、圧力を逃がす過程でオーバーフローしたと思われます。10年以上経過している車両でインバータークーラントは多分ですが初めての交換です。何にせよ、交換時期を迎えているので交換します。

交換の手順です。
- 車体をスロープなどを使って作業しやすい状態にする
- クーラントを抜き取る
- ドレンパッキンを新品に交換してドレンボルトを締め付ける
- タンクにクーラントを注ぎ、システムを始動する
- レベルが安定するまでエア抜きし、必要であれば追加でクーラントを補充する
準備した物です。トヨタ純正のスーパーLLCを使用します。パッキンとタンクキャップも純正品です。
- クーラント(トヨタスーパーLLC)
- 精製水
- オイル受皿(どのくらい抜けたか確認するため)
- 計量カップ(希釈用)
- ドレン用パッキン (90430-18008)
- リザーブタンクキャップ (G9258-28012)
その他、使用する工具や物品です。
- ヘキサゴンソケット
- ロングスピンナーハンドル
- ラチェットレンチ
- 廃油BOX
- パーツクリーナー
- キッチンペーパー

車体をスロープなどで上げ、下部を覗きます。フロント助手席側に冷却水を抜く下向きのドレンボルトがあります。
頭をなめやすいので注意!しっかりと奥まで差し込んでから力をかけてください。

10mmのヘキサゴンソケットが必要です。固く締まっていて、作業しにくい位置なのでロングスピンナーハンドルがあると便利です。短いラチェットレンチや六角レンチでは無理です。
受け皿をセットしてから緩めます。次にリザーブタンクのキャップも緩めます。キャップを緩めると排出されやすくなります。
念のため警告しておきますが、クーラントは有毒物質が含まれているため下水には流せません!廃油BOXなど固形化させて可燃ごみとして出すのがいちばん手っ取り早いです。

完全に抜き取るのは難しいです。半分くらいしか抜けないのが普通です。この型のヴェルファイアはインバーター側のクーラントは全量で3.3L、今回抜けた量は1.5Lでした。そこまで汚れはなく、若干鉄粉と色落ちがあるくらいです。
タンクからエアーを送り抜き取る方法もあるのですが、変にエア嚙みしてエラーが出るとめんどくさいので今回はしません。インバーター側はエラーが出やすいらしい。
ドレンボルトのパッキンは新品に交換して戻します。締め付けトルクは39N・mです。

ドレンボルトを締めたことを確認し、新しいクーラントを入れます。
使用するトヨタのスーパーLLCは精製水で希釈して使用します。濃度50%で凍結保証温度は-35℃です。ここ山形では十分です。濃度に関しては、その車を使用する環境に合わせて調節してください。ただ、完全に抜き切れなかったクーラントと混ざることも考えて50%程度が良いと思います。
クーラントと精製水1:1の割合で作りタンクに注ぎます。注ぎ口が狭いので、ろうとがあると便利です。自分はクーラント用としてダイソーのろうとを使っています。

1.5L抜けたので、まずは1.5L補充して様子を見ます。タンクのキャップは開けたままエア抜きをします。
抜けた分を補充したらシステムを始動します。いつも通り始動しても、整備モードで始動してもどちらでもインバーター側に関してはウォーターポンプが動きます。初回は10秒程度したらシステムを止め、クーラントレベルを確認します。
ゴボっと音を立て、まあまあな勢いでタンクからクーラントが流れます。下手するとタンクのクーラントがなくなりエア嚙みを起こすので注意します。
補充→システム始動→停止→レベル確認→補充
をレベルが安定するまで繰り返します。
ウォーターポンプを稼働させるため、最終確認は整備モードで1分程度エンジンを動かして水位の変化や空気の出入りを確認して安定していればタンクのキャップを閉めます。LOWとFULLの間であれば問題ありません。今回はFULLのちょい手前まで、最終的に1.8L入りました。
次の方法で整備モードに移行できます。
- ブレーキペダルを踏まずにPOWERスイッチを2回押してイグニッションON
- アクセルペダルを計4回、全開まで踏み込む(全開 → 離すを1回)
- ブレーキペダルを踏んだ状態でシフトを「N」、再度アクセルペダルを4回踏み込む
- ブレーキペダルを踏んだ状態でシフトを「P」、再度アクセルペダルを4回踏み込む
- ディスプレイに「整備モード」と表示されたら、ブレーキを踏んだままPOWERスイッチを押してエンジンを始動させる
- 整備モードの解除は、通常通りPOWERスイッチを押してエンジンを停止する

タンクのキャップも新品にしています。実は、このキャップは圧力管理をする弁の役割も果たしているため定期的な交換が必要です。エンジン側のクーラントタンクのキャップとは加圧値が違うので適合しません!
ということでインバータークーラントの交換完了です!念のため、走行した後にレベルを再度確認しましょう。

| 整備実施日 | 2025/11/15 |
|---|---|
| 作業時間 | 1時間 |
| 走行距離 | 164,266km |










