山形の隠れた名所 20mの滝がある「萱滝遊園」

滝つぼから見る落差20mの滝 = 2022年10月2日 萱滝
滝つぼから見る落差20mの滝 = 2022年10月2日 萱滝

萱滝までの道のり

「県道263号萱平河崎線」を東へひたすら進む。その名前にもある通り、県道263号の起点は菖蒲地区の萱平という場所。その起点付近には、市内ではあまり知られていない秘境がある。

小笹、久保川、大門と地区を過ぎると、今回の目的地である菖蒲地区に辿り着く。やがてセンターラインがあった2車線の道が1車線へと変わる。そこは「古屋敷村」と呼ばれる、過去にドキュメンタリー映画『ニッポン国 古屋敷村』のロケ地であった場所。

古屋敷村 観光マップ = 2022年4月3日 大門古屋敷
古屋敷村 観光マップ = 2022年4月3日 大門古屋敷

空き家が目立つものの、23年1月時点で3世帯8人が暮らしていて、物置として使われている家屋もある。映画の撮影後だろうか、ロケ地巡りで訪れた人のために村の入口には「ニッポン国 古屋敷村 観光マップ」が設置されている。周辺の山やロケ現場の建物も記されている。

古屋敷村を過ぎ、車1台ほどの道を上り下り、1kmほど進む。右側に地蔵様、左側に「古窯 萱瀧遊園」の看板が見えた。ここが知る人ぞ知る「萱滝」がある場所。敷地内は砂利道ではあるが、多くの車が停められる広々とした場所だ。左右には桜の木が育ち、4月~5月にかけて見頃を迎える。桜の中には「学童集団疎開感謝の桜」という石柱が設置されているものもある。

観光地として整備する予定だった場所

「萱滝」は萱滝遊園からアクセスすることが出来る。その前に、まずは萱滝遊園を探索する。

大きな石にたくさんの文字が刻まれている「山形岳風会 吟魂碑(きんこんひ)」、立ち乗り専用?と不思議になるほど地面に近いブランコ、そのそばには小さな池と何やら大きな石。この石には「万浮水」と刻まれ、上部から水が湧き続けている。白い外壁の建物は宿泊施設「古山荘 天狗道場」、敷地周辺には鯉の養殖池が複数、なぜこんな山奥に不思議にも整備された場所があるのか。

実はここ「日本の宿 古窯」が観光地として整備しようとしていた場所。1970年代後半頃から整備が始まったようで、それまでは一面田んぼであった。

萱滝へ通じる道 = 2022年4月3日 菖蒲番外
萱滝へ通じる道 = 2022年4月3日 菖蒲番外

「ニッポン国 古屋敷村」の撮影は1980年台、この頃には古屋敷村の存続が危ぶまれる状況にあったそうだ。推測ではあるが、古窯が整備を始めたであろう70年代後半頃には既に空き家が増えてきていて、滝があり、その後ロケ地ともなることから整備に力を入れたのであろう。もしかすると、ロケに合わせて整備していたのかも知れない。

古山荘 天狗道場 = 2021年5月4日 萱滝遊園
古山荘 天狗道場 = 2021年5月4日 萱滝遊園

宿泊施設である「天狗道場」は1976年10月22日時点で存在、過去に水田であった場所が釣り堀を想定していたのか養殖池に生まれ変わっている。ここは蔵王山から来る新鮮な雪解け水が豊富な場所で、養殖に最適であろう。

命懸けで滝つぼへ

ここを観光地として整備しようと思った時、まずは「萱滝」をメインとして考えるはず。風の音の様に滝の音が聞こえる。県道から萱滝遊園を見て奥側、複数の大きな石「吟魂碑」のそばから滝へアクセス出来る道がある。天狗道場側からも行けるが、草が多く分かりにくいためおすすめしない。

少し進み、段々と滝の音が大きくなってきた。途中で右側に通じる道があると思うが、その先には「上山三十三観音 第十七番 萱ヶ平観音」が祀られている。

空から見ると複数段になっている萱滝 = 2021年5月4日 萱滝上空
空から見ると複数段になっている萱滝 = 2021年5月4日 萱滝上空

滝が見えてきた。滝つぼ付近へ降りることも出来るが、急斜面で危険なため十分に注意して欲しい。もし挑戦する場合は、ロープが設置されているのでロープを頼りに、足場を確認しながらゆっくりと降りる。滝つぼ付近へ降りなくても十分絶景ではあるが、滝つぼ付近だからこそ分かる感覚や景色がある。

萱滝は一級河川である須川に属し、落差は20m。須川の上流でもあり、少し先に起点があるようだ。また、春はイワナ釣りに訪れる人もいるよう。地元の人から聞いた話ではあるが、5月に萱滝遊園でお祭りがあるとか。詳しいことは分からない。ちなみに、萱滝遊園を通過して県道263号の起点に行くと、その先は砂利道になり「南蔵王林道」となる。

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